「──死ね」
ドックン!!
川瀬翠斗の声とともに、心臓が、大きく跳ねた。
死なない。
死ぬわけには……いかないから。
守らないといけないものが、ある。
閉じていた目を開き、油断している川瀬翠斗の腹を全力で蹴飛ばす。
「ッ!?」
僕の首を掴む手を緩めたその隙に、もう一度今度は顔を蹴りあげる。
「……っぐぁ!!」
「ッ……はぁ、はぁっ…!!」
川瀬翠斗は、仰向けに倒れた。
地面に足をついた僕は、酸素を求めて大きく息を吸う。
自分でも信じられないほどの身体能力。
なぜかわからないけれど、相手の急所が見える。
妙に冷静な自分に驚きつつ、心の中で朱架に話しかけた。
・・・朱架。
必ず、君を守る。