「はぁっ、はぁっ……」
何キロも走ったから、息が荒くなる。
でも……やっと着いた。
大きな倉庫。
ここに、朱架はいる。
相手はきっと、さっきのようなヤンキー集団だろう。
危険じゃない、訳がない。
下手したら殺されるかもしれない。
でも、朱架を救うためなら。
危険でもなんでも、『行く』以外の選択肢はない。
少し呼吸を整え、倉庫の扉に手をかけた。
──ガラガラッ……
引き戸になっている重い扉が開くと、倉庫の中に光が差し込む。
そこら中に立っているヤンキーたちの顔が、こちらを向いた。
「……何だアイツ?」
「メンバーにあんな髪の色の奴いたか?」
ザワザワとざわめき出すヤンキーたち。
そいつらに囲まれて座っているのは……セーラー服を着た、黒髪の女子。
「葵、くん……?」
朱架……だった。