カンカンカンカンッ…………
階段を駆け下りながら、校舎裏への1番近いルートを考える。
生徒玄関から出るのは、時間がかかりすぎる。
1番早く行けるルート……
それは、1つしかない。
1階についたところで、生徒玄関とは逆方向へ走る。
向こう側から、先生が歩いてきた。
「おう南、頼みたいことがあるんだが……」
「また今度にしてください」
先生の隣を素通りし、まっすぐ走る。
目の前にある……開いた窓に、向かって。
「南ッ!?何する気……」
先生が言い終わる前に、窓のふちに足をかけて、窓枠を乗り越えた。
ストンッと地面に着地する。
「おい南ぃぃ!!何してるんだお前っ…」
「すいません、急いでるんです」
ピシャリと窓を閉め、そのまま走り出す。
そこの角を曲がれば、女子たちが言っていた『校舎裏』のはずだ。
朱架……
『葵くん!』
あの面影を求め、校舎の角に手をついて、曲がった。