+朱架side+
「はぁ……」
部屋のベッドに寝転がりながら、ウサギのぬいぐるみを抱き抱える。
窓から見える空は青く、まるで葵くんの髪の色みたい。
『──朱架』
最近、葵くんのことがキラキラして見える。
ううん……葵くんは元々、キラキラしているけれど。
富士の天然水のように透き通った雰囲気を持っていて、オーラが光っているのは一目見たあの時から分かった。
でも……今は、もっとキラキラして見える。
目がおかしくなったのかなぁ……。
ゴシゴシと目をこすっていると、部屋のドアがガチャッと開いた。
「朱架」
入ってきたのは、お母さん。
綺麗な金髪に整った顔。
白くきめ細かい肌に細い手足。
どうしてあたしはこの遺伝子を受け継がなかったのかなぁ……。
お母さんはあたしの前に立って顔をのぞき込んでくる。
「朝から悪いんだけど……海利知らない?」
海利というのは、あたしのお父さんの名前。
昔暴走族の総長だったせいか、髪を白に近い金に染めている。
「お父さん……?見てないよ」
「そう…。ありがとね」
お母さんは少し首を傾げながら部屋から出ていった。