朝から、疲れた……
数学の参考書を閉じてその上に伏せる。
朱架は、今何をしているだろうか。
会いたいな。
声を聞きたい。
朱架……
窓から吹き込む秋風を感じながらそんなことを考えていると、トントンと肩を叩かれた。
目だけを上げると、そこには数人の女子生徒の姿が。
「ねぇ、玲奈から聞いたんだけど……南くんの説明が上手いってホント?」
「……え?」
「迷惑じゃなければ、教えて欲しいんだけど…」
数学のプリントで顔を隠しながら言ってくる女子生徒たち。
断りたいけど……そんな雰囲気でもなさそうだ。
数人なら、すぐ済むかな。
「……いいよ」
起き上がりながらそういうと、嬉しそうに飛びはねた女子生徒は誰かに向かって叫んだ。