“ガサガサッ。”

「何かいっぱい草があるんだけど……。」
「マジ?」

亮が私の横から覗き込む。
草があちこちからはみ出てる。
雨が降った後で床は水浸し。

「うわぁ…………。」
「せっかく来たし、座らなきゃ良いじゃん?」

暗い顔でのそのそと入って行く亮は可愛い。
今までそんな事なかったのかな?

「うわ、ここ割られちゃってる。」

下にひいてあった板がぱっくりと割れてる。
ああ、無残……。
どうしようかな?

キョロキョロと辺りを見回す。
歩いてきたから、ちょっと疲れたかも。

「くそ~……。」

亮が背中を見せながらゴソゴソと準備している。
何だろう、しゃがみこんで。

「おしり濡れちゃうよ?」
「お前が濡れなきゃ良いの!!」

そう言って亮が振り返ったら
そこには亮の上着の掛けられたところ。
したに草があるのか、もこもこしてる。

「千尋はここに座りな。」
「え、でも、亮の上着が……。」
「……良いんだよ!!」

亮が、あたしの手を引く。