「……クソッ。」

“カランカラン。”

缶を蹴ったら思いのほか遠くに飛んでいって、亮は驚いて眼を見開いていた。
でも、その顔はすぐに元に戻った。

「千尋、どうしたんだよ……?」

ふうと溜め息を吐くと亮は胸ポケットから2つのカプセルの薬を出した。
オレンジ色の物と、白いもの。
亮は水を飲まずにそれを飲んだ。

「もう、止められねえのに……。」

“ジャリッ。”

砂利を踏んだ音がした。
亮はそれに気付いて振り返る。

「無防備だよね、アンタって。」
「あぁ?」

ピルケースをポケットに入れると、亮は酷く冷たい眼でキッと男を睨んだ。

「…………。」
「俺さ、お前みたいな目立つ奴がいると紛らわしくて困るんだわ。分かるか?」
「あ?知らねぇよ。」

男は少しイラッとした顔をする。

「お前は気にしてないかもしんねぇけどな、裏のトップみたいに言われてんだよ。だがそれは間違ってる。トップは……俺だ。お前はチームも居なければ強くもねぇ。そんなんで居られちゃ迷惑なんだわ。」
「結局、お前は他の力がないとダメなんだな。弱いのはあんただ。」
「っ…………!?」

“ガスッ!”