“ヴーヴーヴー……。”

何度もなっているバイブレーションを白い目で見つめている。自習だから騒がしい室内。
先生が見てないから皆やりたい放題だよ。

「…………。」

弁明とか、そういうことじゃない。
あたしの気持ちの問題なんだ。

「千尋ちゃん。」
「?」

話し掛けてきたのは隣の女子。
名前、何だったっけ?

「えっと……。」
「浜口亜衣。言ってなかった気がしたから。」
「あ、うん。あたしは……。」
「うん、大丈夫。千尋ちゃん。」

何だか明るい感じの子。
でも、この子もREって呼んでるのかな?
それにしても、何だか懐かしい感じ。
何処かで、会ったのかな……?

「あのさ、会った事ってない?」
「へ?教室以外でって事?」
「まぁ、一応そういう事で……。」
「別にないけど?」
「そっか。」

勘違いだろうな、多分。

「今日さ、お昼一緒に食べない?あ、遠藤君と一緒だったっけ?ダメかな、アタシとじゃ。」
「…………遠藤君?」

れん君の本名。
何で、そんな名前で……。

『遠藤…………。』

保健室の記憶が甦ってくる。
もしかして、あの懐かしい感じ……。

「あ、あたし遠藤君とはいとこだから。」
「いとこ……?」

キスしてた、あの人……?