そう言ったら、君はニコッと笑った。

「俺も、千尋が好きだよ~。」

軽い感じで、あたしを見て。
それって、ノリで言ってる?
そんなの、信じられないよ……。

「そうじゃなくって……!」
「え?」
「付き合ったりとか、そういう、そういうことなの……!!れん君みたいに、冗談とか、そういうのじゃなくて。ずっと前から、こうやって話す前から、好きだったの……。」

風が吹いていて、二人の髪がなびいていた。
心の中に一つの穴。
馬鹿みたいに、立ちすくむあたし達。
目が、あわせられない。

「俺、それは……。」
「ごめ、あたし今日はやっぱり屋上行けないや。誰か友達と、あ、いとこって人と食べなよ!じゃ、あたし……。」

目頭が熱くなって、痛かった。
風が吹いて、涙が乾くと思った。
でも、思ったより、涙は多くて。

「千尋っ……!」
「急ぐからっ。」

こんなの、嫌だよね。
でも、もう止められないんだ。