「わ、姉ちゃんなんだよそのカッコ!?」

家に帰ったら珍しく早く帰ってきた弟が居た。

「ただいま、へへ、濡れちゃった~。」
「マジ頑丈だから良いけど風邪引くからな?ほら、早く着がえて来いよ。今日は大切な日なんだからな!?」
「大切な日……?」

訳が分からないまま、あたしはTシャツにカーディガン、スカートにチェーンベルトをつけると下のリビングに降りた。濡れた髪の毛が服の肩を濡らして冷たい。
余所行きのような恰好なのは、あたしにとって、家族にとって普通の事。いつ人が来るか分からないお父さんの仕事上、部屋着などは存在しなかった。

「お、姉ちゃん来た。」
「お帰りなさい、濡れて帰ってきたんだって?」
「あ~、うん。」

無理に作った笑顔は多分引きつってたと思う。けど、これに触れないのもウチの家族の良いところだったりする。

「何かあるの、今日。」
「は?姉ちゃん何言ってんだよ!?」
「へ?」
「まあまあ、早く車に乗るわよ。」

お母さんはいつもの余所行き服に増して派手な恰好。弟もよく見たらませた服を着ていた。あたしは、普段と同じ。一体何だって言うんだろう?

「今日はちょっと寄り道するわよ。」
「う~い、分かってるよ~。」

あたしの頭には、はてなマークが飛んでいた。