「嫌いな物とか多かった?じゃあ、次でも良いや。別にこれ、あたし食べれるし!あ、でもお弁当2個も食べれるかなぁ~?アハハハハハ…………。」
本当は涙が出そう。けど、嫌われるよりずっと良いから。ウザイなんて言わないのは分かってる。けど、その顔は胸を酷く傷つけたんだ。
「…………。」
俯いたまま、れん君の顔が見れない。
「いや、そうじゃねえよ……。千尋、勘違いすんなって?な、俺食うよ。」
「じゃあ、何?れん君の嫌な事、アタシしたくないよ……!」
涙を流しそうになった。
そのとき、れん君の大きくて温かい手が触れた。あたしの顔は、爆発しそうなほど熱くなった。
「なななななな…………!」
頭はパニック、胸と顔が凄く熱くて、あたしはれん君を前に硬直してしまっていた。
「何、その反応……。」
「だだだだって……。」
君の息がおでこに当たるたび反応してしまう。それが凄く恥ずかしくて、さらに俯いてしまった。
「やっぱり直接言わなきゃだめか……?ゴメン、わかんなかったんだよな?」
「ち、直接?」
「…………めちゃめちゃ嬉しい。弁当とか、貰うの初めてだし。照れたんだよ。千尋に勘違いさせて、悪かったな。」
返事だって出来ない。顔がさらに熱くなった。
「千尋?」
「み、見ないでっ!」
下から覗き込まれたらもっと照れてしまう。れん君の綺麗な目がアタシの心を見透かしてしまいそうで。
「何なんだよ~。」
「屋上には、ちゃんと行くからっ!早く教室戻ってね!!」
れん君の背中をぐいぐい押して教室から出させる。思ったより大きい背中、揺れる黒髪。
一つ一つにときめいてしまうから、今は見ないで……?優しい君が、居たらこのままになっちゃうから。そんなあたしを、まだ見せちゃダメなんだよ?
「……うん、後でな。」
君が撫でてくれた頭の感覚が、今もここに残ってるんだよ?