「おっし。」
「着いた?」
「うん。」

“ガッシャン。”

心地よい風と花の香りが流れる場所。
何も見えないけど、幸せな雰囲気。
あたしはそれに少し酔っていた。

「目、開けてみ?今超絶景ポイントだから!」
「え、何処なの~?」

ゆっくりと閉じていた目を開ける。
君の影が見えて、そして空が見えた。

「うわ……。」

そこにあったのは、綺麗な景色。
町の奥の、山の中。
見たことのない町の見方に、あたしは言葉を失っていた。君にこの景色が合いすぎて。
君に見とれてた……。

「ここ、俺の秘密基地。」
「基地?」
「ガキの頃とかに作らなかった?」
「ぶふっ!!」

あの時、思わず笑ってしまったけど

「な、何だよ!?」
「ガキって、男子ぐらいだよ~そんなの。」
「そうなの!?」

本当は、秘密って響きにとても感動してた。

「そうなのか……。」
「でもさ、ここキレー……。」

なびいた髪が、君に綺麗と思われますように。
君を見る目が、可愛いと思われますように。
ここなら、どんな願いも叶うかもしれない。
心の何処かで、そう思ってた。

風で、君と何処かへ行ってしまおう。
旅立ちの歌を歌いながら。
風と共に君と舞ってしまおう。
この空が綺麗なうちに。

君と、二人だけで。