「唯ちゃん。起きて」


肩を揺すられて起きてみると魁斗さんがいた。扉は開けっ放しでなんだかいい匂いがする。

「ご飯作ったから食べなよ。お腹空いてるでしょ?」

頷いて私たちはリビングへ向かう。
ご飯はチャーハンと餃子だった。

「おいしそう」

久々のちゃんとした食事だった。
お店に行った時のように見た目もきれいで味も美味しい。

「唯ちゃん。これからどうするかってもう決めてる?」

無言で首を左右に振る。
すると魁斗さんは苦笑する。

「よかったら俺の」

—ピンポーン

インターホンがなった。
魁斗が誰かも確認せず扉を開けると可愛い女の人だった。

「魁斗!暇だったからきちゃった!」

そういってリビングに入ってくると私を見て不思議そうな顔をした。

「あなた誰?」

「唯ちゃんだ。家出したみたいで泊まる場所もなさそうだから泊めてあげることにしたんだ」

「そっかぁ。うちは安曇!よろしく、唯ちゃん!」

笑顔で自己紹介され、ぺこりとお辞儀をするもなんだかすごく泣けてきて。
涙が拭っても拭っても止まらない。
安曇さんも魁斗さんも驚いた顔で戸惑っている。
迷惑かけちゃいけないと思うほど涙は止まらなくて。

「唯ちゃん、苦しかったんだね」

急に優しい香りの安曇さんに抱きしめられた。
こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。
私を包み込んでくれる人がいて、優しくもしてくれる。
私はこんな家族が良かった。

結局私が泣き止むまで安曇さんは抱きしめて宥めてくれた。
長い間泣いていたからかご飯も冷めてしまっている。

「ごめんなさい、私のせいで」

「気にしないで。唯ちゃん、溜め込んでたみたいだし少しは楽になった?」

私は頷いた。
安曇さんは私の頭を撫でてくれた。
その時、魁斗さんと同じリングが光で反射して光った。
なんだかすごく苦しい気持ちになった。



そんな2人との出会いから半年後、私と魁斗さんは付き合うことになったんだ。