バスに乗って、家へ向かう。
帰りたくない、だからかな。足が思うように動かない。

「大丈夫だよ。俺が守るから」

魁斗のその言葉が私を強くしてくれる。
家の近くの駅に着いた。
歩くスピードが遅くなる。
でも、魁斗がそばに居てくれる。

家について、インターホンを押す。
すると、扉が開いた。

「唯!?なんで帰ってきたの?」

母親の驚いた声。
その声につられて父親も出てきた。

「帰ってきたのか」

父親も不満そうな声を漏らす。
それを見て魁斗が口を開いた。

「こんにちは」

2人とも今気づいた様子で魁斗を見る。
じっと見つめていると

「もしかして魁斗君!?」

母親が気付いて懐かしそうにする。

「はい。今日はお話とお願いがあってきました」

それを聞いて母親が家へと促す。
私も魁斗について入った。
父親はリビングにいた。

「俺のことはお構いなく。早速話します。俺と唯は付き合ってます」

2人は驚いて声が出ないようだった。

「付き合い始めたばかりですが、よろしくお願いします」

魁斗が頭を下げた。
私は嬉しくて涙が出た。

「後、お願いがあります。唯にモデルを続けさせてあげてください。お願いします」

このお願いには両親は困った顔をする。
私は何も迷惑をかけてないのに。

「分かった」

そう言ったのは父親だった。
母は驚いた顔をする。
でも、父は「娘をよろしく頼む」と許してくれた。

「ありがとう!!」

私は微笑んだ。
魁斗も嬉しそうだ。

「それじゃ、これだけなんで帰ります。俺と一緒に住んでるので安心してください」

そう言って家を出た。