私は、二重人格だった。
今のありのままの私と、凶暴で攻撃的な私。
攻撃的な悪い私ができたのは、家庭内暴力があったから。いわゆる虐待。
殴られたり、蹴られたり、罵られたり、家から追い出されたり。私の意見の尊重はしてもらえなかった。
「唯っ!!」
魁斗が走ってきた。
そして、私は急に強く抱きしめられた。
「魁斗、私は二重人格。悪い私がもう一人いるの。もう一人の私は、攻撃的で短気で。でも、強いんだ。大事なものを守れるの」
魁斗は黙って聞いていてくれる。
「だからきっと、安曇さんが殺されて、その殺した犯人が目の前にいて放っておけなかったんだと思う。前に学校の先生に相談した時に言われたんだ。気になって病院に行ってみたらそうやって言われた。」
「唯も、もう一人の唯も、悪くないよ。安曇を大切に思えるいいやつだ。だから、俺は感謝してる。ありがとう」
魁斗がお礼を述べてくれた。
また涙が溢れてくる。
「魁斗、ごめん、もうちょっとこのまま…」
魁斗は頭を撫でてくれた。
落ち着くまで側にいてくれた。