あやめが選ぶとロクなことがない。
それを忘れていた。
「・・・次、ここ?」
古びた洋館を模したソコは、ジェットコースターなんかよりも苦手な場所。
お化け屋敷。
「ぁー…これは俺も無理」
隣で、薫先輩も苦笑い。
しかし反対者の意見はまる無視して、あやめはくじを取り出す。
「せっかく男女ペアになってんだからお化け屋敷に入らないでどーするのよ」
「それならせめて観覧車…」
「真昼間にそんなの乗ってどうすんの。あれは夕日とか夜景見るためにあるのよ」
なんだその理論。
確かにそちらの方がムードもいいだろうが、忘れてはいけない。私達はカップルでもなんでもなくて、単なるサークル部員だ。
「私、最後のでいい・・・」
気乗りしないものだから、最後に残ったくじをあやめに渡されるままに受け取った。
開いて、しばらく固まった。