午後競技の方が少ないから、もう体育祭は終わりかけだった。

今はタイヤ取りをしているようで、プログラムを思い出しながら応援席にむかう。

次は騎馬戦なので、応援席の人の数は少ない。

人数あわせのためにタイヤ取りに出てない女子と、棒倒しにでた男子だけだ。

「おかえり若松さん。もう大丈夫なの?」

「ん、おかげさまで。いまどこが勝ってるの?」

「もう点数が出なくなっちゃったから、正確なことはわかんないけど、うちは結構いい線いってるよ」

「そっか」

終了のホイッスルがなってトラックの両端に人がバラけていく。

各ブロックの得点が発表されて、すぐに次の騎馬戦の準備になった。

長ジャージの防御力のたかい女子たちから、半裸の野郎共に変わって、絵面がいっきに男臭くなった。

先に対戦する二チームの中に、八桐と葉月を見つける。

どうやら一回戦は味方同士のようだ。

「すごいね、なんか青春って感じ」

「へー、朱本くんはあれを見てそう思うんだね」

「変かな。でも大人になったら、騎馬戦とかしないでしょ?あと、こういう普通の平凡な生活のなかじゃないとしないよ」

「まあ、今しかしないね。うん。」

騎馬戦が始まる。

砂ぼこりと、雄叫びと、奪い合い。

「いやー、野蛮だなー」

「うん、楽しそうだよね」

葉月は騎手で、八桐は騎馬だ。

ちょこまかと逃げてはちまきをくすねてくずるい葉月と、取っ組み合いになってる騎手の下でそれをささえる八桐。

「まあ、楽しそう、かも?」

応援席の前に出て、声をあげた。

「頑張れ、八桐ー!」