「うわぁ、今のは反則だよ、イケメン過ぎる!
学校一の不良に優しくさせるなんて!!
ヒツジちゃんどんなテク使ったの!?」



「て、テク…?」



「テクニックよテクニック!
あの不良を落とすなんて…!」



「お、落とす!?」



落としてはない!



………私の片想いだから!!



「そ、そんなことより…!
作業!作業進めないと間に合わないよ!!」



ダメ元で無理矢理話題を変えると、静まり返っていた教室は少しずつ作業に戻っていった。



ポツリポツリと会話が始まり、やっとうるささを取り戻す。



「………はぁ~…」



よかったぁ…。



ずっと注目されてても落ち着かないし…。



少しホッとして、私も作業に戻る。



色を塗るための筆を持ってその場にしゃがむと、千夏ちゃんも筆を持って隣にしゃがんだ。



「………で?
何があったの?」



「えっ」



うるさくなった教室で、今度は小声で千夏ちゃんが問いかけてきた。



…………ダメだ。



千夏ちゃんをはぐらかすことは出来そうにない。