「私、閒クンの従姉妹なの!!」
「いと、こ―……」
ギシギシ…、と先生の方を見ると肩を竦めて「そういうこと」とでも言うように小さくため息をついている。
状況いまいち読めてないの…私だけ??
「小さいときから閒クンのことすっごいお兄ちゃんみたいに慕ってて、なんか最近夏波ちゃんと閒クンが仲いいから、取られちゃったみたいな感覚になって……」
玲奈ちゃんが、先生の…従姉妹??
呆然と口を間抜けにあけている私の耳元で玲奈ちゃんがソッと囁いた。
「閒クンのことが好きな女の子、ろくな子いなかったけど、夏波ちゃんなら許せるしね。それに閒クンも夏波ちゃんのこと気に入ってるみたいだしさ♪」
「玲、奈ちゃん……」
「本当は私、夏波ちゃんと普通に友達になりたかったの」
元のボリュームに声をもどした玲奈ちゃんの言葉に私は呆けてから大きく頷く。
「私もだよ」
「これから普通に仲良くしてね♪それから……」
ニヤリと美人らしくない笑い方をして玲奈ちゃんが先生を横目に見ながらわざとらしく大きな声で言った。
「恋の相談受付中★☆」
先生はハンドルにゴンッと額をぶつけ、私はパチクリと目を瞬かせた後、笑い出す。
これにて一件落着??
雨で濡れたフロントガラスが先生の顔を歪めて映している。
笑い声で掻き消えて
雨音が遠くで聞こえてる錯覚がした―……。