「……はいッ、センセ…こ、れ……」
ゼェゼェと息を切らせながらプリントを差し出した私に先生は呆れたように笑った。
「俺のおかげだな」
「本気で、忘れて…た……」
息を整えながら私は頷く。
時刻はPM7:30。
職員室には私とすれ違いで出て行った先生が最後だったのか、先生一人しかいなかった。
「しかも、これ何??」
「だって、よくわかんなかったし」
『Dear Mr.Shigetsuka
Fighit!!
From Nanami Tsujimiya』
「やる気の欠片もないなぁ、オイ。一言かよ」
「だって今、超マッハでやってきたんだよ!?」
「まぁ、努力は認めましょ」
プリントを二つに折りたたんで先生はデスクの引き出しにしまう。
どうしよう。
まともに先生の顔が見れない。
それなら
好きって気付かない方が、よかったのかも―……。
「じゃあ、帰ります。さようならッ!!」
「あ、辻宮!!」
早く、帰りたいのに。
振り返ると先生は私の方を真っ直ぐと見ていて、私が目を逸らしそうになった。
「何ですか……??」
雨のせいで夜みたいにくらい窓の外を見つめながら先生が私に提案する。