先生が、好き。

いやいや、そんなわけが……


でも、好き……


でも、そんなこと―……


「夏波、なんか居るだけでうるさい」
「……唯、最近マジでキツい。傷つく~。自殺してやる~」

いや。もちろんしないけど。
ぐったりと言い返した私に唯がニヤリとしながら言い放つ。

「ふ~ん♪じゃあ、先生がその間に他の女の子に取られちゃってもいいんだ~??」
「~~~~~~!!」

言い返せない私。
だいぶ傾いた陽が教室を斜めに照らし、真っ赤に染める。

「あぁ、放課後って…いいな……☆」
「バカじゃん」

サラッと毒矢を飛ばした唯が頬杖をつきながら教室のドアの方を見た。

「あ。重束先生」
「え、え!?」

冗談かと思って、余裕かまして振り返ると―……

「せ、先―……!?」
「おい、辻宮ー。英語の宿題!!…何??ボイコット??」
「え?あ―……」

あの、英語の手紙。
私は全ッ然思いつかなくて、名前だけ書いて白紙で出したのであった。
「見せて」という思いで振り向くと、当然のようにもう姿はない。

「だ、だって、先生に手紙とか思いつかなかったし―……ッ」

必死に言い訳したのも虚しく

「どんどん評価下がってくぞ」
「えー!?書き直すから!!」
「最初ッからなにも書いてないんだから、直すところないだろーが」

……とまぁ、無情な先生。

「……ッ先生ー!!」
「……~~~わーかった。明日までに書き直してきたらOKにするから」
「ありがとッ♪さすが」
「あーもう!!特別だからなッ!!評価下げるのも楽しいのに~」
「お、鬼!?」
「冗談だって」

私はいつも通りの会話をしながらも、頭の中では先生の一言がずっとエコーしていた。

『特別だからなッ!!』
『特別だからなッ!!』
『特別だからなッ!!』
……。

特別って言葉がこんなに素晴らしいものだなんて……。

すっかり恋する乙女モードに入っていた私は女子の甘い声で現実に引き戻される。

「センセーェ。まだいたんですか~ぁ??」