「えッ!!重束センセー!?」
飲んでいたジュースの蓋をぼこっと飛ばした遥乃の口の前に人差し指を立てる。
「声デカいって」
「夏波、趣味いいとは思うけど……、それはアリ??」
「……ナシだと思いマス」
静かにズズッとシェイクを飲む私に遥乃が呆気にとられた声で続けた。
「確かに重束センセー、かーなーりレベル高いと思うけど~……」
「べ、別にまだ好きとは―……」
「でも、そんなこと言ってたら本当に好きだって気付いたときにはもう、他の子とできちゃってるかもよ??」
笑顔で恐ろしい事を言う遥乃に戦慄を覚えながら私はムムム…、と黙り込む。
「夏波は素直じゃないんだからさ~ぁ」
細い綺麗な遥乃の指で直される蓋を見ながら私は本気で考え込んでしまった。
先生に、彼女―……
あ。
今、先生にアプローチしてる2組の玲奈ちゃんとかすっごい可愛いしな。
あんな可愛い子に「好きです(裏声1)」とか言われちゃったら「俺もだよ(裏声2)」とか絶対にありえるよね。
なんか、生徒と教師の柵またぐどころか飛び越えちゃった~☆…みたいな。
実際そんなことになったら…すっごく嫌かも……。
「でしょー??やっぱ好きなんだって」
「え、え!?心の声漏れてた!?」
「うん。裏声ウケた」
「~~~~!!」
机に突っ伏す私にケラケラと笑う遥乃。
楽しそうにしやがって……ッ。
「でも、本当に早くしないとアレもあるしね。えっと…アレ」
「アレってなにさ」
「今、ちょっとド忘れした……なんだっけ。…あ、あ~!!他校に飛ぶ!!」
「
「そんな深刻な顔しないでも……。今年来たばっかだし、冗談だって☆」
「遥乃」
「うん??」
私の顔を見た遥乃は一瞬ビックリしたような顔をしてから、優しく笑った。
今、気付いた。
うぅん、本当は分かってたんだ。
でも、それは私の思考の許容範囲を遥かに超えてて。
だから、気付けなかった―……。
「私、先生が好きだったんだ。ずっと、前から―……」
たとえそれが
罪であったとしても―……。