「おはよー、夏波♪」
「遥乃。おはよ」
「どうしたの??目の下すっごいクマできてるよ!?」
「あ、あぁ……。昨日、ずっとメル友とメールしてて……」
「ふーん。あ!!聞いて!!あの噂流してたの、美月たちだったの!!」
「え!?」

美月とはいわゆる“遥乃と最近仲いい人たち”の中の一人だそうで。
なんでも、私と遥乃の仲を壊したくてやったらしい。

「だから夏波、今からこっちの部屋来てくれない??」
「え?う、うん……」





「ごめんなさいッ!!」
「ほんっとマジでありえない!!文句あるなら直で言ってよね!!」

しきりに頭を下げる“美月”に遥乃が冷たい視線を投げる。

「私、ほんとに遥乃ちゃんと友達かどうか不安で―……ッ」
「だからって夏波のこと攻撃するとかありえない!!サイテーッ!!」
「は、遥乃、そのくらいで……」
「私だってあの噂のせいで―……」

悔しそうに顔を歪めた遥乃が何を言いたいかはすぐに検討がついた。

「マジで…やってらんないし……」

そう吐き捨てると、遥乃は私の腕を引いて部屋のドアを乱暴に閉めて出る。

「夏波も。本当にごめん。私、カッとなってどうかしてた。夏波はいつでも私のこと応援してくれてたのに……」
「うぅん。私もあやふやな態度とってたから…ごめん」
「また、みんなでいれるよね??」
「うん。私はいたい」

優しく笑った私に遥乃が泣きながら飛びつく。


「夏波、大好き―……ッ!!」


大好きって言葉がこんなに



嬉しくて



ちょっと辛くて。





でも私は、ちゃんと大切なものを…欲しいものを手に入れた―……。





新しい予感が、ほんの少しずつ芽生えていることに





気付かないまま―……。