「重束先生と…辻宮さん??消灯後になにしてるんですか!?」



ギクッとして振り返ると、怖い顔をした学年主任・奥。

ヤバ……。

「いや。辻宮が英語ができなくて悩んでる、っていうから相談に乗ってたんですよ~」
「英語ができない??それは改善しなくてはいけませんね。あ!!そういえば辻宮さん。あなた現国の授業中に寝るのはいい加減にやめなさい。それにこの前の授業中に―……」
「あの、奥先生。もう遅いですし、部屋に帰らせますから。ほら、行くぞ。辻宮」
「は、はい!!相談乗ってくれてありがとうございました!!」
「ったく、be動詞からわからないなんて、中一レベルだぞ??」

……なんてヘタクソな演技しながらそそくさと奥の前から退散する。
ってか、英語は一番得意なんだけど。
まぁ、奥の説教なんて聞いてたら朝が来てしまう。





「じゃあ、先生おやすみなさい」
「あぁ。またメールするから。辛くなったら泣くこと」
「……はい」

なんか、周りからみたら恋人同士みたいじゃね??みたいな会話を繰り広げてることに私も先生も気付かない。
それとも。

先生は、気付かないフリしててくれたのかな??

「おやすみ」

そう言って先生はヒラヒラと手を振って、廊下の角に消えていった―……。