「辻宮、俺。悲鳴とかちょっと…やめて??」
「ア…じゃなくて…先、生……」
「何?襲われると思った?」
「いきなり口塞がれたら思うよ」
ホッとした分、溜まっていた涙が一筋だけ流れる。
「ほんっと、ビックリした」
「俺もだって」
先生は私の横にドカッと座ると神妙な顔をしようとしたのを失敗して結局いつもみたいにいたずらっ子みたいな笑顔を私に向けた。
「辛いだろうと思って、来た」
「ありがとーございます」
「うわ。感謝の意がこもってねぇ」
「嘘。本当はすっごい嬉しい。私、素直じゃないんだ」
「知ってる」
俯いた私を見て何かを察したのか、先生が戸惑ったような手つきで私の頭を撫でる。
「冗談でも、『好き』って…伝えたら、よかっ…た―……ッ」
「うん」
「表面には、出さなかった…けど、本当に……好きだったんだよ―……!?」
「うん」
「でも、ダメだったんだ。遥乃、が苦しいの…私の、せいだから―……ッ」
「え?遥乃、って幡多??」
「う、ん。私が、流してないんだけど、遥乃が援交してる噂流したことになってて…そのせいで遥乃が男子に―……」
震える掌を白くなるくらい握って話す私に先生が優しく掌を解かせて、私の口の前に人差し指を立てた。