5分前に送った送信済みのメールを見つめながら、私は誰もいないさっきのロビーの前の椅子に腰掛けてた。


誰でもいいから、誰かと繋がっていたかった。


手の中で低い音をたてたケータイは、何故か懐かしい。

『久し振り。2週間メールシカトは辛い(-_-#)』
『ごめん。ちょっと色々と頭がこんがらがってて』
『ナナミは俺とメールすることどう思ってる?』


いきなり突きつけられた現実に思わずまた一粒、涙が零れた。


アイを、失いたくないよ。



『嫌だ、やめたくないよ。私を一人にしないで』



これが、私の心の叫びだった。



独りは怖いよ。



独りは辛いよ。



『じゃあ、これからも俺のことはメールではアイって呼んで。なんか、よくわからないけどナナミからメールがないとヘコむ。ってか今どこでメールしてんだ??消灯しただろ??』
『今、ロビーの椅子に座ってる。…あのね、アイ。私ついに失恋しちゃった。上手いこと“友達”と“好きな人”がくっついちゃって。私、二人をくっつける手助けしたんだよ??……ほんっと、バカみたい』
『え!?失恋って…今日!?』
『うん』

あの後、遥乃と一緒に河野のいる部屋にコッソリ行って、遥乃は河野に告ったんだ。
そしたら、なんか…予想通りにOKで、顔を赤くした二人が印象的だった。


すごく、胸が痛くて……死にそうだった。


でも、幸せそうに私に笑いかけてくれる遥乃を見てるとなんか嬉しくなっちゃって、泣く気にもなれなくて。
よかったね、って繰り返してた。
遥乃も「ごめんね。本当は夏波のこと疑いたくなかったし、信じたかった」って泣きながら言ってくれて仲直りできたし。


本当に、よかった―……。