それからのことはあんまり覚えてない。
っていうか、思い出したくないんだ。
でも、あの遥乃の表情が鮮明で余計に辛い。



「唯」

短く呼ばれただけで、唯は全てを悟ったような表情で私を静かに見た。
私は部屋に私達二人以外誰もいないことを確認して唯の前にへタレこむ。


「……っだったの―……」

「……うん」

穏やかに私を見下ろす唯との間にはまだ、溝を感じて。


「私、河野のことが…好きだった―……ッ」


笑いながら言う私に唯はただ、黙って私を…見てた。



神様は


いつでも私の願いを聞き入れてくれなかった


中二のあの時も


中三のあの時も


いつも



悪い結果しか、待ってなかった。



私の目の前からは





みんなが、姿を消して行った。



ねぇ、河野。



私、本当に





河野が、好きでした。





大好きでした。



でも、そんなことを言うのは今日で最後。





サヨナラ


サヨナラ



サヨナラ―……。