「じゃあ、さっき言ったグループごとにわかれてインストラクターの方の話をしっかり聞きなさい。じゃあ、1グループから4グループは俺で、5グループから9グループは重束先生が担当だから、それぞれグループの担当の先生の指示も聞くこと」

北原が真っ青な海を背景に腕組みして私達に指示する。

ザザン…、と波の音が沖縄の日差しの下で火照った体には涼しく感じられた。


「なーなみん♪」
「は、晴陽ちゃん……」

後ろから上機嫌の晴陽(ハルヒ)ちゃんが私の肩を叩いてきた。

「どーしたの、なぁちゃん。テンション低いじゃん」

晴陽ちゃんは私のことは基本的に『なぁちゃん』と呼ぶ。

「うーん、ちょっとね。あ、今日一緒に行動していい??」
「オッケー、オッケー☆遥乃も一緒だけどいい??」
「……え」
「ダメ??」
「あ……。うぅん!!全然!!うん、入れてもらってごめんね!!」
「うぅん。つか、遥乃と一緒に行動しないの??」
「う、うーん……」
「ケンカしたんならちゃんと仲直りしなよー??」

ニカッと笑って晴陽ちゃんの後ろに続きながらいつものように作り笑い。
晴陽ちゃんとは1年の最後に席が前後になって仲良くなった子だ。
すっごいおもしろくて、―本人に言ったら怒られるけど―小っちゃくてかわいい子。

「ちょっ、なぁちゃん見て!!!!」
「え、え!?」

思いっきり引っ張られて痛かった腕をさすりながら晴陽ちゃんの視線を辿る。

「超ッッッカッコいい……♪」
「あ。眼鏡萌えだもんね、晴陽ちゃん」
「『眼鏡萌え』とか言わないでよー。なんか、ヲタクみたいじゃん??」
「だって、晴陽ちゃん眼鏡キャラLOVEじゃん」
「そーだけどぉ」

インストラクターの人を恋愛感情丸出しの視線で見つめながら晴陽ちゃんが反撃を弱めた。
まぁ、眼鏡抜いたとしても結構カッコいい。
……そんなこと言ったら晴陽ちゃんが調子乗るから言わないけどさ。

「あ!!遥乃~♪なぁちゃんもいるよー」

バカ。
分かってるくせにこんな行動を取るってことは、計画的犯行だな……。
犯人・晴陽めッ!!

「あ、あぁ。うん」

あえて私と反対側を選んで並んだ遥乃。
そんなにあからさまに避けなくても……。