「夏波ー!?」
「ごめん!!今行く!!」

改札の向こうで首をかしげている遥乃に一応謝って素早く改札を通った。

「同じクラスになれるかなー??やっぱ、河野も一緒が、いいなぁ……」
「なれるって!!」

肩から少しズレた鞄を直して、私は遥乃の肩を叩く。
私だって、なりたいよ。

みんなとも、

河野とも。


「っていうか最近、夏波ケータイばっか気にしてるけどどうしたの??」
「あぁ。メル友ができてさ♪」

あ。
珍しく本当に笑えた。

「メル友かぁ……。私も欲しいなぁ」
「河野のアドゲットできないの??」
「うー、ん」
「がんばれよー」

中学生かョ。と内心ツッコミながらも俯く遥乃が可愛くて、思わず無言で頭を撫でる。

可愛さ余って憎さ100倍の意味がよーくわかった。
遥乃可愛すぎるし……。
勝ち目のない戦いほどテンションが下がるものはない。
それが例え、恋であっても。

なだらかな坂道をダラダラと歩きながら前を歩く河野の背中を見つめる。
普通こんだけ近くにいたら気付くよね。
その距離わずか、20mくらい。
そんな鈍いところも長いこと河野に片想いできてたってことで、イイ所なんだけどさ。

「河野、背ェ伸びたよね」
「そ、うかな??あんまわかんないや」

何cm伸びたんだろ?? と笑う遥乃に内心呟く。

知ってるよ。
この前、1年の時から5cm伸びたーッ!!って叫んでた。
そんな河野のことがすっごく可愛いな、って見てたの覚えてる。

本当に、河野のことが好きで

好きで


好きで。



ずっと見てた、なんて言ったらストーカーみたいな感じかもしれないけど、本当に純粋な気持ちで。
目が、離せなかった。