少しボヤける目をこすってケータイを開く。

『ナナミも頑張れよ(^o^)/ ヤベ。挨拶思いつかねェ...』
『アハハwがんばらなきゃいけないのアイじゃん?』

送信。

ふ、と見ると前に座っている男の人のケータイが震えた。
画面を見た彼は苦笑いしてボタンを押し始める。
何?
上司からですか??
大変ですねェ...サラリーマンもがんばってるんですね。

しばらく男の人を観察することに決めた。
元々、あまり友達と喋るとか苦手だし、遥乃が静かに河野の方見ててくれてよかった。

メールを打ち終えたのか男の人はケータイをパタン、と音を立てて閉じる。



不意に、私のケータイが低い音を立てて震えた。



いつか誰かに聞かれたことがある。


『運命って信じる??』



もちろんあったら素敵だと思う。
でも、あったとしても私にはそんな奇蹟起こらない。
だから、私は首を横に振った。



でも、ほんの少しだけ信じてみたい。


その



『運命』ってやつを―……。