「菜々花?」

呼ばれてはっとして、わたしは顔をあげる。

「絢斗くんっ、嬉しい、ありがとう、大切にするからね……!」

そう言って振り向いたとき。

抱き寄せられて、唇と唇がくっついた。

嬉しさと、甘い温かさでくらくらして、そっと目をとじる。

体の芯まで熱くなるようなキスに夢中になってしまった。

「……キスしたいってさっきから思ってた」

唇を離してそう囁かれて、わたしは焦がれるように絢斗くんを見つめた。

好きっていう気持ちと、嬉しさと、なんだかもう胸がいっぱいで。

目元が潤んでしまって、絢斗くんが困惑した顔でわたしの頬を撫でた。

「どうした?」

「うん、絢斗くん、好きっ……ありがとう」

泣きそうな声でそう言ったわたしを、絢斗くんは優しく笑って抱きしめた。

「俺も菜々花が好きだ」

耳元で聞いたその言葉に、わたしの鼓動は一段と速くなる。

大好きな絢斗くんとのクリスマス。

もらった素敵なプレゼント。

幸せだなって思って、絢斗くんの背中にまわした腕に力を入れて、しばらく温もりを感じていた。



「またイルミネーション見に来たいな」

「来年な」

「……うんっ、来年!」

微笑む絢斗くんと、また来年も一緒にクリスマスを過ごしたい。

温かくて、幸せなクリスマスを――


【番外編:END】