「わたしずっと、手繋ぎたいなって思ってたの。でも二人じゃないからどうかなって、わたしも気にしちゃってて……」

視線を落として繋がれている手を見つめると、絢斗くんの声が耳に届く。

「他に人がいるってことに慣れてないから、どういう感じでいればいいのかわからなかった」

「うん」

「菜々花が二人を誘ったときも、ちょっと困ったっていうか」

「ごめんなさい……」

「いや、敦瑠たちと一緒なのが嫌とかそういうわけじゃないから。みんなで飯食ったり買い物したりクレープ食ったりしたの、すげー楽しかったし。ただ……菜々花との距離がもどかしかったつーか」

絢斗くんの困ったような声を聞いて、わたしは顔を上げた。

「それ……わたしも思ってた」

同じことを。

絢斗くんとの触れるか触れないかの距離が、とてもはがゆくて。

「もっとくっつきたいなって、思ってたの」

そう言った自分が恥ずかしくて、目元が熱くなってきた。

すると、わたしの手が軽く引っ張られて、体が絢斗くんにくっつく。

「俺もそう。もっとそばで話したり、菜々花の顔見たいなって」

絢斗くんを見上げたら、彼は優しく微笑んでいた。