顔を横に向けると絢斗くんがいて、くすくすと笑っている。

「もう、びっくりしたよ!」

「悪い悪い」

そう言ってるけど悪いと思ってない気がする。

わたしは軽く口を尖らせて絢斗くんを見ていたけど、相手は口許を緩めたままだった。

そして絢斗くんはシャーペンたちに視線を向ける。

「この中だとこれが一番いいな」

「絢斗くんはライオンがいいの? ひよことかうさぎは?」

「俺に黄色いひよこのシャーペンとか合わねーだろ。このライオンのシャーペンなら、デザインは黒と茶だし」

「そっか。じゃあわたしはピンクのうさぎ……あっ、焦げ茶と赤のクマさんのやつも可愛いなあ! ……えっと、一緒に買う?」

わたしが照れながら聞くと、絢斗くんはうなずいた。

どちらにしようかしばらく迷って、ピンクのうさぎにした。

同じシリーズのものを二人で買うって、なんか嬉しい。

「なに買ったのー?」

お店の前で沙耶はわたしが持っていたペンのサイズに合わせた紙袋を見て聞いてきた。

「シャーペン買ったの」

「お揃い?」

「えへへ」

「菜々花ー、にやにやしてるー!」

沙耶はわたしにからかうような瞳を向けてきて、恥ずかしいけど袋を見つめてやっぱり頬が緩んでしまった。