口許を緩めてわたしを見ている絢斗くん。

その視線が――わたしの唇に移った。

どきん、として絢斗くんの瞳を見つめる。

鼓動がさらに速くなって、なんだかとても恥ずかしくなってしまって。

わたしは赤くなった頬を両手で包んで、肩をすぼめた。

すると、絢斗くんがくくっと笑う。

頬を押さえたまま絢斗くんを見たら、彼は意地悪な顔をしていた。

「菜々花。なに想像してんの?」

「っ……!?」

いたずらな絢斗くんの瞳に、湯気が出てもおかしくないくらい、全身が熱くなってしまう。

うう、恥ずかしいよ。

「な、なにも想像なんてしてないからね……!」

「ふうん?」

全然説得力のない顔をのわたしに、絢斗くんは目を細めた。

早く、話をそらさないと。

「に、25日はどこに行く!?」

「どこにしようか」

絢斗くんの口許はまだ緩んでいる。

そんな彼を気にしながら、わたしは話を続けた。

「い、イルミネーションとか、行く?」

「それいいな」

「ね! ……あ、でもわたし、あまり夜遅くまではいられないんだけど」

「じゃあ、ちょっと早めに会おう。飯食ってゆっくりしてから最後にイルミネーション見に行く」

「……うん!」