ったく。
慶大の奴・・・。

『しゃ~ね~。戻るか・・・。』

俺は、さっき来た道を少し早足で戻った。


あれ。慶大じゃね~か?

俺は、ベンチの前で立っている慶大の近くに行った。



『おいっ、慶大。何してんだよっ。』


俺は少しキレた言い方で話しかけた。


でも、慶大は俺の事を無視して、前を向いたまま動かない。


『おいっ。無視すんなよ。』


俺は慶大の肩んバシッっと叩いた。

「って。何すんだよ。」

慶大はやっと俺の方を向いて、眉間にしわを寄せながら叩いた肩をさすっていた。


『何じゃね~よ。何してんだよ。帰っぞ。』

俺は慶大より先に歩こうとした。

すると・・・

「ちょっ、待てって。あの人、泣いてるから気になって・・・」
慶大はすこし焦りながら言った。

『はぁ?んな事、ど~でもいいじゃん。』

俺は呆れながら、慶大に言った。

「ちょっと、行って来るわぁ~。待ってて。」

慶大はそう言うと、“あの人”の方へ歩いて行った。

『えっ!待てよ。』

俺は焦りながら付いて行った。