「そんなに旭陽のことが好きなの?」
「す、好き!?」
この一瞬でわたしがついた嘘と同時に橘くんに好意を寄せていることまでも見破られてしまった。
百合ちゃん…….恐るべし。
「わたしは別に……」
堂々と橘くんが好きだと言えなかった。
わたしみたいな平凡女子が橘くんを好きだなんて、
ましてや百合ちゃんみたいな美少女に知られるが1番恥ずかしい。
無謀な恋をしてると思われたくなかった。
幼なじみの百合ちゃんから、わたしはどう見えているんだろう。
「嘘つくの下手だって教えてあげたのに、まだ頑張るつもり?」
柔らかい髪の毛をふわりと揺らし、穏やかな笑みを浮かべていた頃には想像もつかなかった顔でわたしを睨んでいた。
無防備な背筋に凍るような冷たい緊張が走った。
さっき感じた違和感はやっぱり間違いじゃない。
この人、本当に“あの”百合ちゃんなの……?