「そういえばさ、柊百合と橘旭陽って幼なじみらしいよ」
「へぇ〜、ムカつくけど美男美女でお似合いだな」
最近は情報が回るのが早すぎる。
1日も経たずに、橘くんと百合ちゃんの関係性が広まっていた。
まぁ、2人か一緒に居れば自然とそうなるよね。
橘くんと百合ちゃんは何をしたって目立つ。
はー、美男美女かぁ。
お似合いって言葉はずるい。
たしかに2人並ぶと絵になるくらい素敵で魅入ってしまいそう。
お似合いという言葉だけで隣にいることをみんなから許されたみたいで、なんだか腹立たしかった。
わたしが橘くんと並んでもお似合いなんて言われるわけがないし、ファンの女の子から睨まれて終わるのが目に見えてる。
観賞用王子様だと、女の子が側にいないせいで取り巻きが居ないんじゃないかと錯覚してしまう。
あんなにかっこいい橘くんを女の子たちがほっとくわけないよね。
昨日まではあんなに近くに橘くんが居たのに。
百合ちゃんの存在によって、前よりずっと遠い人になった気がする。
寂しい。
橘くんと話したいよ…………。
昼休みに図書室の近くの校舎裏に行けばまた会えるかな?
今は水曜日まで待っていられない。
今度は橘くんの好きなブラックコーヒーでも持って行こう。