「……馬鹿だ…っ。」


私は、ボロボロと溢れる涙とともに、そんな声をこぼした。


そんな時だった。


_______________グイッ


「……ひゃっ」


いきなり、腕を強く後ろに引っ張られたのだ。


その拍子で、私は、バッと後ろを振り向く。


「なん、で…。なんで……っ!」


そこには、表情を歪ませた李雨先輩が立っていたのだ。


「そのセリフは俺の方だ!…ざけんな。ほんと、意味わかんねー!!」


そう言って先輩は、私を強く引き寄せた。


……どうして?


なんで?


そんな疑問ばかりが、頭に浮かぶ。


「なんでだよ…。…んで。」


そう言いながら、抱きしめる力を強くする李雨先輩。


「なんかわかんねぇだよ。大切な奴が誰なのか…。思い出せねえんだよ。七瀬が俺の彼女だって…。彼女のハズなのに、なんか、なんか…」


そう言って、苦しそうに嘆く先輩。