多分、さっきまでの私は、七瀬さんと、李雨先輩が付き合ってる、なんて…、そんな事信じていなかったんだ。


……多分まだ、先輩を信じていたんだ。


もう、あの時の先輩はいないのに。


記憶、なくしちゃってるのに。


馬鹿だ。


馬鹿だなあ、私。


変に期待なんかしちゃってさあ。


「……くっ…」


溢れそうになる涙を、必死に堪えながら、下を向く。


やだ、やだやだ!!


もう……っ。


泣くな、泣くな、泣くな泣くな!!


そう思い、スカートをギュッとつかんだ時だった。