ミルクを作って与えれば、やっと泣き止んで一生懸命に飲もうとする。最初は戸惑った授乳も、一週間経った今はようやく慣れてきた。
「おばちゃん、その赤ちゃんどうしたの?」
「ちょっと知り合いの子どもを預かることにしたんだよ」
「ふぅん~」
常連客である子どもたちにまさか“親に捨てられた子だ”なんて言えやしない。万が一この子のことを憶えていて、どこかで会った時に捨て子だと話されたら将来に響く。
数ヶ月で別れる子どもに余計な心配かもしれないけど、自分でもどうしようもない状況で恋人と別れなきゃならなかった身からすれば、少しでもこの子が自分の生まれや育ちに傷つくことがなければいいと思う。