「クリスマスプレゼントだ。あまり大したものではないが」
ガサガサとラッピングを外した伊織さんは、その中から大きなぬいぐるみを出してみどりに差し出す。
自分とそう変わらないほどの大きさのクマのぬいぐるみに、みどりも最初は驚いていた様子。巨大な未知の存在に興味津々な様子で近づいて、おっかなびっくりと触れてみる。
やがて、無抵抗と判ったのかあちこちぺたぺたと障りまくり、抱きついてみたりと遊び始めた。
「きゃう!」
「よかったね、みどり。お父さんにありがとうしなきゃ、ほら」
ちゃんとお礼を言える子どもにしたいから、家族とはいえきちんとさせる。私がそう促すと、判ったのかみどりは「あ~お」と、言葉にならないけど父親に笑顔を向けた。
「ゴホン。いや……大したことじゃない」
表面上は素っ気なくしたつもりらしい伊織さんだけど、顔が緩んでて全然そうは見えませんよ? まぁ愛娘の成長ぶりに目を細めるのも仕方ないよね。
「ミクには新しいクッション。太郎と花子には新しいポンプだ」
そして、伊織さんは他の家族の分もちゃんと用意してくれてました。 さすがです。