みどりとともに家に戻ると、ミクが出迎えてくれた。


相変わらずマイペースな女王様だけど、もっと小さな存在(みどり)ができたからか、ほんの少しだけ大人になってくれてます。


……なんて感心したのもつかの間。


「フギャ!」


ミク様はお腹が空いたぞ!と大変お怒りになられました。


「太郎と花子は大人しいのに……」


キッチンでちょっとだけ愚痴ると。どこからか聞きつけたらしいミク様に、顔面猫パンチを喰らいました……。




ミクのご飯ついでに、下ごしらえしておいたお料理の仕上げにとり掛かる。

とはいえ、後はサッと焼いたり温めるだけ。育児をしながらだとどうしても手が込んだものは難しくて、今は家族でお祝いができればいいと思う。


できれば家族としておばあちゃんも呼びたかったけど、おばあちゃんはクリスマスが好きじゃないみたいだし。源さんと過ごす方が楽しいみたいだから、無理強いはできない。


シチューを温めていると、玄関に伊織さんの車が見えて慌てて火を止めお迎えのために鏡を覗く。

髪型、メイクよし。服も変じゃない。エプロンは仕方ないよね。


急いで玄関に駆けつけると、ちょうど伊織さんがドアを開くところでほっとする。


「お帰りなさい、伊織さん」


コートや荷物を受け取りながら、労いのために精一杯の笑顔で彼を見上げた。


伊織さんにとって、私や家がほっとして優しい安らげる存在だといい。そんな願いを込めて。