おはる屋でまったり休憩していると、ガラッとガラス戸が開いて驚いた。伊織さんが来るにはまだ早いのに? と。
だけど、現れた人を見て納得した。近所に住むおばあちゃんの茶飲み友達の源三郎さんだったから。
「静子さんや、孫娘がおはぎをようけ作ったんや。よかったら食べんか?」
「ああ、ちょうど小腹が空いたころさ。碧、お茶淹れてやんな」
「はぁい」
「お、碧ちゃんもおったか。よかったらおはぎ食べんか? おお、みどりちゃんも大きくなったのう」
源三郎さんはみどりを見ると、まるで本当の孫のように可愛がってくれる。みどりもちゃっかりしたもので、愛想よくして人気取りに忙しい。
「おお、ほっか。こんなじぃじのことも憶えてくれとるか。嬉しいもんだのぅ……ほれ、こんなかのおもちゃで良ければプレゼントさせてもらうかの」
私がお茶を出す頃には、みどりを抱き上げた源三郎さんはでれでれ状態。みどりはちゃっかりと駄菓子屋で売ってるおもちゃから、クリスマスプレゼントをゲットしてました。
「す、すいません! みどりがわがままで」
「いいよ、いいよ。わしも孫が大きくなってあんまり来てくれんで寂しくてのぅ。みどりちゃんが遊んでくれるなら、これくらい安いもんじゃ」
……源三郎さん。おばあちゃんよりも孫バカになりそうな気がします。
おばあちゃんはやれやれ、仕方ないねえと言った様子で見守ってる。どうやら好きにさせるスタンスらしい。