「ああ、そうさね。ここまで丈夫に育ってくれて何よりさ」


おばあちゃんはそれだけ話すと、後は打ち切りとばかりに話題を変えた。


「それより、あんたもバカ婿になにかを用意をしたのかい?」

「あ、うん……一応、ね」


おばあちゃんが気にしてるのはプレゼントってことくらいは解る。


今の私は無収入だから、自分のお金でものを買うことはできない。だから、せめて気持ちが籠ったものを……と。夏過ぎからせっせと暇を見つけては編んできた。


今どき、手編みのマフラーなんて重いし流行らないかもしれないけど。


自分ができる精一杯の気持ちで、想いを込めて編み上げた。


「ああ、いいんじゃないかね。あのバカ婿ならあんたがやるものなら、石ころだって喜びそうなもんさ」


おばあちゃんはあくまでマイペース&相変わらず鋭い。実際、みどりが生まれて親子3人で初めて川原に散歩に行った時。
綺麗な石があったから、伊織さんの手に載せたら。
彼は「今日の記念にする」って巾着袋を買って、その中に大切にしまってたりします。


「いいかい? 愛されてるからって、妻の地位にあぐらをかいて傲慢になるんじゃないよ。
妻はあくまで控えめくらいがちょうどいいんだ。男は顔を立てておいてやった方が後々の為になる。わがまま放題好き放題やるのは馬鹿な女だ。生活は互いに協力し譲り合って作るものさ。愛されるのは当たり前じゃないんだから、絶対忘れるんじゃないよ」

「はい。わかったよ、おばあちゃん。アドバイスありがとう」


おばあちゃんがこうして耳に痛い言葉をくれるのは、私を心配してくれるからと解ってるから。素直に頷いた。