「あはははは! 碧お姉ちゃん、それ最高だね~」
バンバン! とちゃぶ台を涙目で叩くのは心愛ちゃん。中学校の制服であるセーラー服を着てるけど、お腹を抱えて笑う姿はまだまだ変わらない。
「それでさっきから伊織さんが不機嫌なんだ~」
にこにこというより、ニヤニヤが近い心愛ちゃんの笑み。それを見てた空くんが眉をひそめた。
「心愛、あんまり大人にそういった事を言うもんじゃない」
「はいはい! って言ったってさ~今日はクリスマスイブじゃん。空兄ィ、こんなとこで油売ってていいの?彼女との約束は??」
「美亜(みあ)とは6時からだ……って!」
妹の誘導に見事に引っかかった空くんは、たちまち頬を染めて妹を睨み付ける。
「な、何言わせる! このバカ妹!!」
「ふ~んだ。あたしがバカなら、空兄ィはアホよ、アホ。だって美亜さんと初めてのお泊まりデート。約束したホテルの予約忘れてて、顔が利くおじさんに泣きついたの誰でしたっけ?」
「わぁああっ!」
心愛ちゃんの暴露に空くんの顔が耳まで赤くなり、バタバタと両手を動かす。あれはその、だのなんだのぶつぶつ言い始めるけど。それでも空くんは満更でもなさそう。
本当に、上手くいってるみたいでよかった。心底安堵して、どうか彼らが幸せなようにと願った。
「それより、碧お姉ちゃんたちは? もちろんデートのご予定ですよね~?」
ニヤニヤ笑いがパワーアップした心愛ちゃん。まるでどこぞの世話焼きおばさまみたいですよ。
心愛ちゃんの将来像が垣間見えたような……。