結局、正男と美里さんは元サヤというやつで。美里さんはしばらく親元で美鈴ちゃんを育てて、それまで正男は経済的な援助をし。一人前になったら迎えに行くと決めたようだった。
伊織さんは2人への餞(はなむけ)に、既に購入したベビー用品を譲ると申し出た。これから物要りだろうし、と私も賛成したけれど。肝心の美里さんは首を横に振る。
「お申し出ありがとうございます。ですが、これからは私と正男さんで力を合わせ美鈴を育てます。今まで本当にありがとうございました」
迷惑をかけたお詫びとお世話になったお礼に、と美里さんは手作りのお菓子を置いて正男に付き添われ帰った。美鈴ちゃんとともに。
そして、その日の夜。みんなが帰ったリビングはシンと静まり返ってた。
たった2日しかいなかったのに。美鈴ちゃんの存在がどれだけ大きかったか……。
ベビーベッド代わりに使った篭が置いてあった場所を眺めると、そこだけぽっかりと大きな穴が空いたようで。私は思わずため息を着いてた。