「えっと……ミルクは人肌程度? あ、その前に哺乳瓶と飲み口を殺菌しなきゃならないの? あ、お湯を使えばいいのか」
缶に書いてある作り方や育児書の注意事項を参考にして、まず手を念入りに洗って……哺乳瓶や必要なものを煮沸消毒。水は水道水で問題ないけど、必ず70℃以上でないとサルモネラ菌の心配がある……と。
ミルクの温度は人肌程度。作る時は先にお湯で粉ミルクを溶かしてから、後で同じお湯を足すか冷まし用のお水で冷ますか……流水で冷ます、と。
その他にも細かく注意しなきゃいけない点があって、慣れない私はミルクを作るだけで悪戦苦闘。
やっといいかな、って思えたミルクを腕に落として温度をみたら、思ったより熱くて慌てて冷まし直したり。
泣き声に急き立てられて焦った結果、リビングの入り口に足を引っかけて転びそうになった。
「できた……はい、ミルクだよ」
ぼろぼろになりながらなんとか作り終えたミルクの入った哺乳瓶を赤ちゃんに見せるけど、ただ泣くだけで反応がない。吸い口である乳首を口に近づけても、飲んでくれません。
「も、もしかしてお腹空いてない? オムツの方だったの!?」
ひええ、どうしよう。作ったミルクは衛生上次に持ち越せないって書いてあったし。もったいないけど捨てるしかないか……
(それより、一度オムツを見てみないといけないか。何時間外にいたか知らないけど、そりゃ大人でも我慢出来ないよね)
ミルクが冷めないようにタオルでくるんでから、かごの中にいる赤ちゃんのオムツをどうにかしようと開いてみたら。やっぱり濡れてました。
「ええと……まずはお尻を拭いて……パウダーを……え、オムツ……ってどうやって巻くの?」
まったく未知の出来事なだけに、オムツ替えに30分近くかかって。やっと落ち着いて抱き上げたまま哺乳瓶を与えたら、やっと乳首に吸い付いてくれました。