「まったく、人妻となった身でこれくらいでオタオタしなさんな。みっともない! 」
どうしていいかわからずにとりあえずおばあちゃんを家に呼んだら、赤ちゃんを見た途端にいきなり一喝された。
「だ、だっておばあちゃん……伊織さんの子どもって……」
「ふん、バカ婿も一応はやるじゃないか。浮気は男の甲斐性って昔はよく言ったもんさ。
だがまあ、子どもに罪はない。あんたも狼狽えてる暇はないよ、しゃんとしな!
母親になる練習だと思って、頑張って面倒を見るんだ」
やっぱりおばあちゃんは慰めたりしてくれるはずもなくて、いきなり突き放されてしまいましたよ。
「えっ……でも、私。赤ちゃんの面倒なんて見たことないから、どうしていいかわかんないよ」
「まったく……相変わらずぼんやりとした子だね。あんたもいつかは子どものことを考えてたんだろ? なら、先に勉強くらいしておくもんだ」
おばあちゃんはそう言いながら、手にした風呂敷をドサリ! とリビングのテーブルに置く。
「とりあえず、赤子にはオムツとミルクだろ。あとは自分で何とかしな!」
「え……もう帰っちゃうの?」
「わしは忙しいんだよ。いつまでもあんたにかまってるヒマはないからね。こっちは十人の子どもが待ってるんだ。後は自分で頑張んな」
おばあちゃんはそう言ってさっさとリビングから出ていった。