伊織さんは何を言いたいのか、一生懸命に考えた。
体調不良→つらいから横になりたい→遠慮なく休みたい→気にせず睡眠を取りたい。
(うん、やっぱりそうだよね。伊織さんは仕事を頑張ってるから、お休みくらいは気がねなく体を休ませたいはずだし)
うんうん、とひとり頷いた私は、伊織さんの手を掴んでにっこりと笑う。彼が遠慮なく休めるように、大丈夫という意味も込めて。
「わかってます。体がつらいから休みたいんですよね? 私が支えますから寝室に行きましょう」
はい、と私は伊織さんの腕を取って自分の肩に回させた。まだ遠慮しているのか、重みを感じることがない。
「伊織さん、遠慮しないで私を好きなようにしてください。私は大丈夫です。伊織さんのしたいことや希望には、なるべく応えますから」
彼を支えるためにとなるべく身体を密着させたのに、どうしてか伊織さんは微妙に身体をずらしていく。体調不良じゃないの? って意地になって彼にくっついていると。大きなため息が頭上から降ってきた。
「……まったく。わざとでなくともおれを殺す気か、おまえは。おれがどれだけ耐えてるのかわかってないだろう?」