レイは続けた。
「外の世界で、頑張りすぎちゃったんだよねぇ…きっと。家にいてもつまんなかっただろうし、理不尽なこともたくさんあったから。家以外のところに、自分の居場所作りたかったのかな。」
その横顔は、なんだか切なく、暗闇の中を歩いているような、迷いも見てとれた。
ただ、黙って彼女の言葉を読み取る。
「家ではさ、最高に我儘に育っちゃったわけだけど、外ではどんな風に生きてんのか分からないんだぁ…
医者になって、みんなが期待した通りの道を歩んでるけど、何か望むものがないんかなって思う。
本当にお節介以外の何ものでもないけど、家族以外で、あの人を受け入れてくれる人がいたら、その先を安心できる気がするの。
私達じゃ満たせなかった家族愛とかさ、そんなものを。
自分の努力で掴めるものは全部、今まで本当によく頑張って勝ち取ってきたと思う。
だから、いままでのご褒美に、そういう大切な人を神様が運命とかで、縁をつくってくれるといいなぁって、ね。」